A
第一幕
1.夢−ユメ−
「はやくっ、はやく行くんだっ!!」
「まって、でも…」
それじゃあ貴方たちが、
と続けようとしたが私より頭一つ分大きい彼らはそれを許さなかった。
「お前ら、早くこの方を連れていくんだっ」
指示された二人は短く頷くと私の腕をガッシリと掴んで走り出した。
その反動で中に浮いた私の足の先に幸せそうな笑顔がみえた。
「貴方のおかげで私は・・・・」
その次の言葉が紡がれることはなかった。
ヒュッと
音がしたかと思った次の瞬間に、自ら犠牲になった彼の体の下半分が消えた。
遅れたように赤い飛沫が飛び散って、彼の真っ白な服を染めていく。
「・・・い、いや・・・いやああぁぁぁっ!!!」