3.闇の住人−ヤミノジュウニン−




机や教卓、黒板・・・
いや、教室自体がぐにゃぐにゃと歪み、私の雫から広がった闇に飲まれていった。







私は、暗闇に浮いていた。
ただ、浮いていた。



奇妙な感覚だった。

何も見えないのに、不思議と恐怖はなかった。



「ここ、何処だろ・・・地獄かな」



自分が言ったことに笑えてきて、大声で笑った。





ひとしきり笑った後、最後に笑ったのはいつだっただろうかと考えた。



確か、あれは・・・



「うっ・・・」



鈍い痛みがこめかみに走った。



「あ、れ??」



思い出せない。
思い出せないのだ・・・。


気がついたら、私はあまり感情を表に出さないようになっていた。


そう、幼い頃、から・・・




ビリッと頭の奥でしびれるような痛みが走る。



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