突然、目の前に若い男の人と女の人が現れた。



二人とも微笑むように私の方を向いている。



「アリカ、おいで」




えっ、と私が声をあげるのと、後ろから聞こえてきた「はぁーい♪」という声とが重なった。



あはは、とはしゃぎながら小さな子供が私の横をすり抜けていく。



あれは・・・



その女の子は確かに似ていた。



私が、毎日必ず顔を合わせているのだから、見間違うわけがない。








「・・・・わた、し・・・??」



その瞬間、頭に響いていた鈍い、痺れるような痛みが、刺すような強い痛みに激変した。



「うっ・・・いた・・い」



それでも懸命に目を開けて遠くに歩いていってしまう3人を見た。



頭の中で、まるで誰かが警鐘を鳴らすかのように痛みが増していった。



だめ・・・



そっちにいったら・・・



おねが、い・・・戻ってきて・・・








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