暗闇の中に広がった


赤い鮮血は


綺麗なほど、よく映えて。





「いやあああぁぁぁぁっ!!!!」


私はその場に崩れた。
訳もわからずただ、叫んでいた。



「お父さん、お母さんっ!!!」




叫びながらも、私の目はちゃんと女の子を捕らえていた。




ただ、魂が抜けたように呆然と立ち尽くしている。



まるで、静かにしていれば、母親と父親が帰ってくると思っているかのように。





そう、あれは幼い頃の私・・・



泣き叫ぼうともせず、突っ立っている。
涙すら出ていない。






私は泣いた。

あの時の分まで。




血が、私の膝まで届いた。



私はそれを見たくなくて目をぎゅっとつむった。




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