A
あ、れ・・・?
自分の鼓動が、聞こえた。
ドクン、ドクン・・・
あの人・・・
・・・ドクン、ドクン
向こうもこちらに気付いたようだ。
友達が教室に入っていったのを無視して立ち止まった。
不思議そうな顔でこちらをみている。
私、
あの人を、
知ってる。
間違いないと確信したが、何故だかわからない。
髪の色素が薄いのだろうか。
窓から差し込む光に髪が反射して、栗色にキラキラ光っている。
「おい、橋崎。どうした」
一緒にいた男が栗毛の少年を呼びにきた。