もっと、キスして
「大丈夫だから。
大した傷じゃないし、見た目もちゃんと元気そうでしょ。」
「…やだ。
わたしばっかりいつも凛に頼ってばっかりで。
凛はわたしがつらいことにはいつも蓋してくれて。
凛のやさしさなんだけど、
いまのわたしにはそれがつらいよ。」
泣きそうになりながらちのに言われる。
「わたしは、凛の役にも立てないの…?」
そう弱弱しく下を向いてつぶやいたとき、ちのが泣いたきがした。
「ごめん、ちの。泣かないで。
そういうつもりじゃなかったの。
全部話すね、全部話すから。
だから、泣かないで。
わたしにはちのが必要なの。」
そっと抱きしめて言い聞かせた。
「凛のばか…っ!」
私よりすこしだけ背の低いちの。
そんなに身長は変わらないのに、
いまはやけに小さく見えた。
「ばかで、ごめん。
不器用でごめんね。…でも、ちののこと大好きだから。」