もっと、キスして



店長が出て、帰ってきて。

ちらほらお客さんも増えだして。


そうこうしてたらもう退勤の時間になる。


「楓と凛は引き継いだら帰っていいからな~。」

「「はーい」」


深夜シフトの人が来て、あれはやったこれはやってないということを伝えて引き継ぎをする。


「しのみん上がるねー?」

「おっけーお疲れちゃん。」


店を出て楓の車に乗る。


「ねえ凛、ファミレス寄って帰ろ。」

「食費かさむからヤダ。」

「お願い!!!奢るから!!!!」

「奢りなら全然いいよ。」


ファミレスで食事を奢ってもらってから楓の車で家まで送ってもらう。


「あれ?まだ親御さん帰ってないの?」


まだ私のアパートには電気がついてない。

いつもことだけど、

今日はファミレスによって“ポラリス”のこといろいろ聞かれたから

いつもより帰るのがだいぶ遅い時間だったのに部屋の電気がついてないから不思議に思ったのかな。


「あ…うん。お父さんもお母さんも夜まで頑張って働いてくれてるから…」


「そっかー…。お父さんとお母さんの仕事って何なの?」


「なんか言うなって言われてるしいろいろ転職してるから今の仕事は分かんないんだよね。

言えないなら聞く必要もないし。」


「そうなの?…まあそんなもんか~。」


「じゃあ明日も学校だしもう帰るね。ご飯とかいろいろありがとう。」


「おう。“ポラリス様”のことまた教えてよね。
ついでに1人ぐらい紹介しろ。」


「言葉遣い昔のが出てるから。
彼氏に甘えとけばばあ。」


「ははっ、誰がババアだ殺すぞ。」


そんな笑いながら可愛い顔で暴言吐かないの。


いい歳して彼氏もいるくせにやんちゃやってた頃のくせが抜けないんだから。


「ごめんねおねーさん」


とかいいつつ楓もまだ19なんだけどね。


車のドアを閉めて楓を見送る。


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