もっと、キスして

それから一週間が過ぎた。


朝は学校行って、昼はPolarisとお昼を食べて、

放課後はバイト。


お昼は泰成と大貴とちのがわいわい騒ぎながら学食をつついて、

桐谷先輩とわたしは特に何もしゃべらずお昼を終える。


そんな日が一週間。



「おい。」


珍しく桐谷先輩が口を開く。

それに顔を上げる。

視線は私に向けられたものだった。


「…何？」


「…週末とか、空いてねえのか」


「…ちょっと待って。」


ケータイでバイトの予定を確認する。


「今週、日曜なら…夕方から空いてる。」


「凛それ以外バイトしてんのー？」


泰成がびっくりしたような声をだす。


そんなにびっくりするかなあ？


「まあ、貧乏だし。」


というか普通の親じゃないから自分で稼がなきゃどうしようもないだけなんだけどね。



「日曜、そのまま空けとけよ。」


桐谷先輩が話を戻すように付け加えた。


「あ、でもバイト長引くかもしれないんだけどいい？」


「ああ。」


どっか行くのかな。


どこ行くんだろ。


てかなんで急に。

しかも私だけ。



視線を感じたので横を向くと、泰成がやけにニヤついてた。



「ねえ泰成。」


「ん？なに？」


「顔超キモイんだけど。」



「うっわ凛ひどすぎる。

おれ人生でかっこいいよりキモい先に言われるとか思ってなかったんだけど。」



え。泰成ってかっこいいって言われたことないんだ。


「何そのかっこいいって言われたことないんだ、みたいな顔！！！」



可愛い。


あ、そっか。泰成可愛いから。


「泰成はかわいいってもてはやされたことしかないんだよなっ。」


「大貴より紳士でかっこいい性格してんのにな。」


「はー？」


泰成と大貴の言い合いが始まると、ちのもくすくす笑い出す。



「二人ともかっこいいよ。」



ってちのが言うと二人ともありがとうって鼻の下を伸ばしてた。



泰成は人生初のかっこいいを聞いてめちゃくちゃ感動してるらしい。



「かっこいいっていい響きだなーっ。」



とかアホみたいなこと言ってるのが面白くて声出して笑っちゃった。