もっと、キスして
夕方何故かちょっと人が多かったからなかなか上がるに上がれなくてやっぱり退勤時間は少し遅れた。
「ねえしのみん。私もう上がっていいー?」
「ああ。予定あるんだったな。上がれ上がれ。」
「やったありがとう。」
とりあえずお客様の入りが落ち着いてから退勤した。
バックで着替えて関係者のドアから出ると清掃してた楓がまたニヤつきだす。
「なに。気持ち悪いんだけど。」
「うっざ。
ちゃんとお洒落してるなあって思ってただけだよばーか。」
「出かけるのにジャージの人とかいないでしょ。」
楓を軽くあしらう。
「時間だいぶ過ぎてるから行くね。」
「はいはいお疲れ~」
カバンからケータイを出す。時間は伝えた時間から30分過ぎていた。
「やっば。」
怒ってるかな。
金曜日帰ろうとしたら呼び止められて、どうやって連絡するつもりなんだよって電話番号とかを交換させられた。
家族の連絡先なんてはいってないし、電話もメールも滅多にしないし、
教えてもらったとしても登録しなくてもだれか分かっちゃうから、
連絡先に初めて登録した。
やり方わかんないからやって、って言ったら最初びっくりしてたけどね。
店長と仲いいこともあって私たちのシフト曖昧だから、
バイトが終わったら連絡するねって約束だった。
“桐谷先輩”そこの連絡先に電話をかける。