もっと、キスして




『どうした』


「あ、今終わった。」


『どこにいる』


「駅前。」


『そのまま待っとけ。家出る。』


「あ、カフェにいるね。」


『ああ。』



声は怒ってなさそうだったな。


外に向いてる全面鏡張りのカウンターに座って、バイト中にはつけれなかったアクセサリーをつける。



金色の縦長の楕円で細かい模様が彫ってあるうすいやつピアスを両耳に通す。


透明なグロスを塗り直す。


アイスココアを頼んで桐谷先輩がくるのを待った。



「待ったか?」



「全然。早かったね。なにか飲んだりする?」



「いや、家で飲んだ。」



そっか。さっきまで家にいたんだもんね。



「じゃあ行こ。」


「もういいのか?」


「うん。」



ちょうどさっきココア飲み終わったしね。


でも意外といろんなこと気にかけてくれる人なんだな…。



待ったか?とかもういいのか?とか聞いてくれる人いそうでなかなかいないんだよね。


特に桐谷先輩なんていいそうにないし。



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