もっと、キスして


「これ…。」


細長い箱を開けるなり大貴の目が潤んでいく。


「だ、大ちゃんがっ、俺も欲しいって…い、い、てたの思いだし、ましたっ…」


「ほんとにいいのか?」


ちのがあげたのは、ちのが毎日つけてるネックレスの男性バージョン。

ついてるチャームは同じなんだけど、

女性用のは首に回すチェーンがすごく細かくて短いのに対して、男性用はチェーンがごつくて女性用のよりは少し長いのが特徴。


「で、でも…っそんな高いものじゃないし…ほんと申し訳ないんだけどねっ、あの、あの、ね、」


ちの頑張って。


「い、いっしょに、つけてく、れませ、んか…」


ちっさく。

小さな顔を真っ赤に染めて。

俯いて精一杯言ったちのを見て、大貴まで赤くなって。


大貴は口を片手で覆い隠して少しうつむく。


「…はい。」


そうやって大貴が答えた瞬間ちのが私に抱きついてくる。


「凛〜…っ!」


「…よしよし。頑張ったぞちの。えらい。」


頭を撫でて背中をトントンする。


「良かったね。」


「怖かったぁ…っ。」


断られたらどうしよう、嫌われたらどうしよう。

恋するとなんでも臆病になっちゃうんだって。


ちのも私も大貴の性格ぐらいよく知ってる。


まだ知らないことが沢山ある中で、大貴って人がどういう人なのか、大体はわかってきてる。


だからこそ、頭では喜んでくれるって分かってるけど、

どうしても不安になるんだって。


プレゼントを選ん出るときに、ちのが話してた。


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