雪華



 浅右衛門と一刻待つと、人足に連れられて最後の罪人が姿を現した。

 おやおや、何ということだ。
 出て来たのは、まだうら若い娘じゃないか。

 だけど、と俺は娘を見つめた。


 今日は先に男が二人だった。
 どちらも取り乱して、それはそれは見苦しかったもんだ。

 だがこの娘はどうだ。
 顔色こそ青ざめているが、き、と前を向いている。


 俺は嬉しくなった。


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