COOL GIRL

しばらくして、私たちが乗った電車は、ある駅で止まった。

見覚えのある駅。

ここで初めてあなたの名前を呼んだんだっけ。

「愛、置いてくよー」

「あ、待って」

電車を降りて改札を出る。

この街には、しばらく来ていなかったから、街の変貌に驚いてぐるりと辺りを見回してしまった。

「あ、ここだ」

友人が突然立ち止まる。

目の前には『喫茶お春』の看板。

「ここでしょ?噂の元暴力団事務所って」

「やだ、こんなところで立ち止まらないでよー…もう行こう」

友人たちは歩き始める。

だけど、私の足は動かなかった。



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