幽霊かぁさん
お葬式
『しまったぁ〜! 遅くなった』

もう、夜の8時。
美弥子は早足で家路に急いだ。
高校生の長男、榊は バイトから帰ってきてないだろう。
中学生の長女、菫も 部活後の おしゃべりで まだだろう。

問題は、末っ子の要。


いつも 学童から帰ってきて すぐに 何かしら食べてる。

小一なのに わが家で一番の大食漢だ。


トリガラのような体のどこに入りるのか? って位によく食べる。


いつもは六時半には夕食なんだから …

早く帰って 仕度しなきゃ……

ママチャリを飛ばして15分
青い屋根の 小さいけど 奮発して買ったわが家。

『あれ?明かりがついてない…』

急いで中に入る。
やっぱり 誰もいない…
『かーくん?』

『かーくん、いないの?』
おかしい…
こんな時間に いないなんて…

心臓がばくばくして、手が震えてきた…

『…そうだっ…お友達の家に電話…また、遊びにいったまま夕飯をご馳走になってるのかも…前にも…健くんチで…』

震える手で 受話器をもつ。

でも、番号がわからない。
どうしよう…

健ちゃんチだけじゃない…
パパの会社も
おばあちゃんチも

『なんで?覚えてたはずなのに…私、ボケたの?』



受話器を握りしめたまま、何時間たったのだろう…

ガチャガチャ 玄関があいた。


『要、先に入れ』榊の声


『菫、布団を座敷に敷いてくれ』パパの声


『なんだー、みんなで出掛けてたのか』
安心したとたん、
連絡くれればよかったのに…と、思った。



菫が リビングに入って来る
『お帰り、みんなで何処に行ってたの?ご飯食べた?』

菫は こちらをみないで
隣の座敷に布団を敷きだした。
泣いてるみたい
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