桜道【実話】
『タバサおいで!』



あたしは初めてリビング

に入った。



部屋の隅っこの窓際に

小さな仏壇があった。



【ドクン…ぁっ…】



《ナオのお母さん?》



『あぁ~母さんだよ!』



そこには

とても優しそうな

そして

とても綺麗なお母さんの

写真が飾られていた。



『母さん、頼むな…』



そう言ってナオは

コンビニで買ってきた

ヤクルトを仏壇に供えた。



【ナオ…ウルウルッ

本当に赤ちゃんの事

愛してくれてたんだ…】



《お母さん初めまして

タバサです…

赤ちゃんの事

お願いします…グスッ》



ふたりで手をあわせた。



《あっ!!

ちょっと待ってて》



あたしは

バックの中にある

大切な物を取りに行った。



『どした?』


《これも!!》



ナオが

神社でもらってきて

くれた大切な物。




安産のお守りを

仏壇に供えた――――





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