桜道【実話】
『よっ!』


夕方ナオが迎えに来た。


《もう

終わるから待ってて~》



【ドキン…ドキン…】



あたしは南からもらった

検査薬をバックの底に

押し込んだ。




《お待たせ~》



『おう!お疲れ~』



ナオに手を握られ車が

動き出す。



『タバサ正月は?』


《お正月?》


『初詣行こうぜ?!』


《うん!いいよ~》



元日の朝

ナオと初詣に行く約束を

した。





幸せだった。





でも

あたしの左手はバックの

外から、かすかに検査薬

に触れていた――――






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