桜道【実話】
―ブッブッブッ―



家に帰って

すぐにベルが震えた。



【あっ…ナオだ】



ナオの

携帯番号が入っていた。



きっとナオは

ひとり部屋にこもって

いるのだろう。



【ズキッ…ナオ】



ナオのつまんなそうな顔

が目に浮かぶ。



でも今あたしには

ナオと普通に会話できる

自信がない。



【ごめんね…ズキズキ】



あたしは

ナオに連絡しないまま

布団に入った。



【明日は病院……ドクン】



頭の中は

明日の事でいっぱいだ。



それ以外

何も考えられない。




―ブッブッブッ―



夜10時に

再びベルが震える。



【ん?0833―70】



クリスマスの朝を思い

出す。



【おやすみ―ナオ】



ナオからの

メッセージだった。



【ナオ…グスン

ごめんね…ごめんね…】



ナオは

ずっと連絡を待っていた

のだろう。




あたしはベルを握りしめ

心の中で何度も

ナオに謝った―――




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