桜道【実話】

避ける

「もしもしタバちゃん?」


夜遅く雛からの電話。


《あっ!雛…》



久しぶりに雛と話した。



「タバちゃんナオくんと

初詣行くでしょ?あたし

も拓ちゃんと約束してん

だけど皆で行かない?」



【ぁっ…初詣…忘れてた

あさってじゃん…】



「タバちゃん達は大晦日

から行く予定だった?」



雛には

まだ何も言ってなかった。



《雛…あたしね…グスン》


「タバちゃん…?」



昼間の出来事が頭の中で

駆け巡る。



《あのね…あたしね

赤ちゃんが…できちゃっ

たの…グスグス》



「えっ?赤ちゃん??

ほんとに?!」



雛の驚きに今までの

あたしが

あたしじゃなくなって

いる事を感じさせられる。




《うん…ほんと…今日

南のお姉ちゃんに病院

連れてってもらった…》




あたしと雛は

しばらく沈黙した。



「ねぇ…ナオくんには?」



【ズキン!!ナオ…】





ナオには

言えない――――





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