アメトムチ

モテるおとこ




どことなくソワソワしている男子に、いつもより恋愛トークが弾む女子。
学校中が甘くなるシーズン、そう2月。バレンタインデーである。


去年から何かとイベント毎にツイてない私はなるべく全ての事から避けるように生活している。

噂話のつきない女子や、ケバめのメイクの先輩。それに、いつも遠くから視線を送っている後輩達ーーーー、正確にはこの隣の玉置をこよなく想い続ける乙女達、をだ。


「 あーだる 」

「 ‥‥‥‥‥ 」

「 なに? 不機嫌なわけ? 」

「 ‥‥‥‥‥ 」

「 無視? いいご身分で 」


あっそ、と少し面白くなさそうに雑誌を捲る玉置に表情を変えることなく冷たくあしらう私。
このスタイルになった経緯は先月のこと。


そう、何を隠そう沢山の生徒の前でキスをされたあの日からだ。


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