最後の夏休み~運命の日まで~
「かなこちゃん、ただいま。」

「おかえり!」

台所の方からとてもいい匂いがしてくる。

「今日はね、雪の好きなハヤシライスだよ!」

「ありがとう。」

実を言うと、かなこちゃんが初めて作ってくれた料理がハヤシライスだ。

今まで手料理をあまりしなかったので、思わずおいしいと言ってしまい、
かなこちゃんの中では私の好物はハヤシライスになっている。
本当の好物はかなこちゃんの作る、料理だと言うのは、秘密にしている。

「よしっ!できた。食べよっか」

「うん。」

私はかなこちゃんと一緒にハヤシライスを食べはじめた。

「かなこちゃん、おいしいよ。」

かなこちゃんの顔がパッと輝いて、大きく笑った。

「料理なら任せてよ!」

毎日お弁当を作ってきて欲しいくらいだ。

「かなこちゃん、あの本ってどんな終わり方するんだっけ?」

「私、まだ全部読んでないんだよね。」

「読んでてもゆきが言ってた所くらいまでなんだよ。」

また読み返さないといけないのか。
明後日にでも読み返そうと思った。

「かなこちゃん、今度貸してあげるね
。」

「おぉ!ありがとう!」

1人で食べるご飯よりも2人で食べるご飯の方が断然おいしい。
こんな時間がずっと続けばいいと思った。
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