スイーツ男子
「あのマンション」
指差す方を見ると、
えーーー!私の家の近くのマンションじゃないですかーーー!ちかっ!

「ほらかえんぞ!ったく俺が見張ってねぇと
変な男にすぐひっかかんだからよ。
湊は家までちゃーんと俺が送るから、
あっお前!あんまり湊に近づくな!じゃあな」

えー。手を引っ張られ、
連れて行かれる…
「ごめん廣田くんまたね」

「ちょっちょっとーーー!」

「だめだあいつは!
ほかにいーやつぐらいいんだろ?」

「そんなんじゃないからーもーーー」

「湊の家で夕飯食べてこうかな」

「なっ!」
なんてずーずーしーやつなんだ!
まったく!さっきまで落ち込んでいたとは思えません!!

家に帰るとお母さんがタケルを夕飯食べてきなさいと猛攻撃をして、結局我がご飯を食べている…。
母親の隣にはタケルが座り、味噌汁を飲んでいる…

「ぷっ」

「何?急に笑い出して…」

「なんかタケルってうちの家族みたいって思って。
馴染みすぎ!」

「なーに言ってんの?タケルくんは立派なうちの家族じゃないのーー!ねっ?タケルくん」

「ありがとうございます!!」

!!なっ何改まって。

「どうしたの?タケルくん!?



もう!タケルくんったら!家族の一員なんだから、
いつでもうちにいらっしゃい!
あっいっそ、うちの湊もらってやってよーー。ねっ」


家族…

その言葉にタケルは反応したんだ…。
まだまだ、こんなに笑顔でいても、
家族という場所に戻れるなら戻りたい…
そう思うんだよね…


「あっえっとじゃなあ、湊がよければ…ってなぁー。あーでもなー、湊にふら…」

「あーーーー!!!!!


このお肉おいしー!お母さん!タケルがいるからって
奮発したな??」

なぜか…タケルのその後に続く言葉を遮るようにして声を出してしまった。


"湊にもう振られてる"


タケルを振ったことをなかったことにしたかったのか…
母親にタケルといろいろとあったことを知られたくなかったのか…


わからないけど…

やっぱり複雑で

もやもやと

苦しい。
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