特別課外刑事部 -五人の刑事-
私の大声にハッと意識を取り戻した康くんだけど、康くんはどうして自分が私に被さっているのか理解できていないようだった。
「私のファーストキスを返せー!!」
バチンッ!!
この音はもちろん私、胡桃が康くんの頬を引っ叩いた音で、その衝撃で康くんはベッドから落ちた。
そしてベッドにあった枕もついでに投げつけた。
私は仁王立ちしてベッドから落ちた康くんを睨みつける。慈愛を持つ康くんだけど今回は私が狂気
女の子にとってピュアなファーストキスがどれほど大切な物なのか、この部屋にある物で康くんを痛めつけようかな…
「ごめん胡桃、僕は一体何を…。アルカナな仕業としても胡桃の様子からして、僕は許されないことをしたみたいだから…」
あ、あれ?
何だかさっきまでの怒りがスーッと消えていくような気が…
「他に何かしてはい?無理やり…その色々と…」
「え、あ…キス……だけ」
「「……………………」」
何だろう!!
怒りを超えた静けさ
ピピピッピピピッ!!
号令信号ー!!
救いだよ。この気まづい瞬間を救う音だよ。今なら煩くても許せる
《やっと繋がったわね。こちら菜々子。問題なし、そっちは?》
《菜々子さん、こちら私と康くんは問題無しです》
実際はあったけど言えるはずもないし菜々子さんは一人なんだ。
そりゃ何もないよね。
《良かったわ。さっきからリーダーと秀星が繋がらないのよ》
《リーダーと秀星くんですか…。アルカナの仕業でしょうか?恋愛とかなら人を撹乱させたりできるんじゃないですか?》
《そうね。とりあえず一階のエントランスで集合しましょう》
通信を切ったあと、私は康くんをチラッと見た。どう見ても気まづい雰囲気、というか空気。
「敵の罠ですから!康くん」
「…ぅ…うん」
「早く行きましょう。菜々子さんのいるエントランスに」