特別課外刑事部 -五人の刑事-
「一体、どんなアルカナが…」
菜々子さんを連れて外に出た私はリーダーたちがいる廃墟のホテルを見上げた。
空も暗く廃墟だからこそ電球も少なからずしかない。だけど見える。アルカナと戦っていることが。
ピンク色に光っている。アルカナ対応の拳銃の弾丸はは碧色。だからあれはアルカナの色。
《こちら胡桃です。アルカナはどんな感じですか?》
戦っている最中に通信が上手く伝わるかわからないけど正位置と逆位置さえわかればアルカナがどんな状態なのかわかるはず。
念のため携帯にアルカナについての資料をメモリカードに入れておいたから何かの役に立って!!
《こち…伸明…ル…ナ、せ…位置》
うまく聞き取れなかったけれど正位置だとわかった。正位置だとすれば…
《こちら胡桃です。アルカナは恋人エルメスを意味しています。誘惑と戦うって意味でもあります。自分を信じて下さい。天使か女神がいるなら額がタウ!!》
これが間違っていたら愛や恋で暴走が広がり被害が大きくなる。
それはいつしか愛の無い世界へと変えてしまうかもしれない。
繋いでいた手を放す事になる。
お願い!!!
「…あ……」
光が切れた。クリスタルの様に散っている。雪の景色でも無いのにまるで雪のような一つしか無い宝石。
アルカナが消えた証拠。
「…ん…ぁ…あれ、私」
「あ、目が覚めましたか?菜々子さん。アルカナ倒しましたよ」
「そう…。でも私、何か忘れている様な気がするのよ」
「気のせいですよ!ほら、もう少ししたら皆が戻ってきます」
知らない方が幸せ
それはきっとみんなもわかってる
はず…だけど
「そんなはず、無い…よね」
私は自然と自分の手を唇に触れた。