特別課外刑事部 -五人の刑事-



「はぁ、何かオレらしくねぇ」


胡桃を庇ったつもりはないがリーダーの言葉に納得が出来なかっただけかもしれない。


胡桃は最年少のガキ。自分もまだ未成年だからリーダーからしてみればガキかもしれないけど。


「ったく、連絡無視かよ」


休憩室にある自販機で飲み物を買い近くにあったソファに座り携帯を確認するが一向に無視。


実際、胡桃がどんな奴なのかまだよくわからない部分がある。今年刑事になったわりには、きちんと働いてるって感じで何か自分の居場所、奪われそうだ。


そう思っていると康が休暇室に入ってきた。秀星の顔を見るなりに溜息をつき


「納得してない様子だね」


と、言った。


「当たり前じゃないですか。胡桃の事を考えての発言ってのはよくわかりますけど」


「リーダーにとって胡桃は娘のような感じなんだよ。…いや、妹かな。僕もそんな感じなんだけど」


「ちっこいのがうろちょろしてたら、そんな感情が芽生えますよ」


そう言ってグビグビッとジュースを飲みほし空き缶をゴミ箱に捨てた。


「康さんって胡桃んち、知ってましたっけ?」


「知ってるけど会いに行くのかい?」


「何か逃げてる感じでムカつくんよ。現実から目を逸らすっていうか…」


「僕は別に構わないと思うけどね」


「は?」


「逃げる事は、けして悪い事だけじゃないってことだよ。リーダーには悪気はない」


「………」


「市民をアルカナから守るのが僕らの仕事だ…。そう仕事なんだよ」


「康さん…」


「僕のデスクの引き出しに胡桃のプロファイルがある。そこに住所は書いてあるけど、あくまでも個人情報だから漏洩には気をつける事」


「わかってますよ」


「それに。決めるのは胡桃だ」


このまま無断欠勤をしてクビになり普通の学生生活に戻るかどうかは胡桃次第。第三者があれこれ言ってはいけない。


余計に攻めるような形になるから。


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