特別課外刑事部 -五人の刑事-


キッチンには確かに煙がこもっているが火が少ない。つまりキッチンが火元じゃないってこと。


他に思い当たる場所は…どこ?

アルカナもいない。

今回のアルカナは塔だ。塔のアルカナがどんなのだったか思い出すんだ。


「…あ、上だ!」


胡桃は康の手を引き階段へと上り出す。火を使う=キッチンって考えちゃいけなかったんだ。


だって相手は塔のアルカナだから。


「ゲホゲホッ。胡桃…っ…一体どういう…ことだ?」


「康くん…っ…塔のアルカナ…の絵って雷に撃たれ…ゴホッ…」


「そうかっ。神の…怒りと…も言われていた…っからな」


この会場は八階まであるはずだから八階の大広間か屋上にアルカナがいるはず。でもこの会場を乗っ取ったって事は大広間とは考えにくい。


だったら…!!


《こちら伸明、聞こえるか?避難は終わった。アルカナは屋上だ!!》


「だからっ、向かってますよ…リーダー」


塔のアルカナの動きは止まらない。未だに揺れているし爆発もしている。これは一種のテロだ。


上の階に行くたびに煙が強くなりハンカチで押さえてもキリがない。


「ゲホゲホッ…っう…ゲホゲホ」


ヤバい。視界が…

訓練を受けた消防隊なら、これぐらい楽勝なんだろうけど所詮特課部は素人同然。


「胡桃…お前はもう、非常口から…逃げるんだ!」


「私は…行きます!!」


最後の力を振り絞って屋上まで駆け上り重たいドアを開けた


すると室内中にあった煙がドバッと外へと出されていく。外の空気を吸えて嬉しいけど肩で息をしているぐらい体力を使った。


「…見つけた。アルカナ…」


< 54 / 93 >

この作品をシェア

pagetop