特別課外刑事部 -五人の刑事-
「特別課外刑事部はこれまで通り行動する。アルカナが現れ次第、俺逹が動く事に変わりはない。市民にはアルカナの危険性を報道してもらう」
「リーダー」
胡桃は不安げにリーダーを見るがリーダーは冷静かつ真剣でいた。
「アルカナは死に等しいものだ。それを伝えてもらうよう”上”に報告する。警察だって面倒ごとは御免だろうからな」
「それが上手くいくといいですが…」
心配しているのは胡桃だけではない。菜々子も心配しており大きく溜息をついた。
「それと康、言葉を謹め」
「え、僕?」
「さっきの発言は特課部の刑事として許されないぞ。仮に野次馬がいたとしても任務に遂行し市民を守るのが俺逹の仕事だ。アルカナだけに捉われるな」
「………わかったよ。反省する」
そう言った康だけど、少し間があったのが気になる。康くんはリーダーの判断に対して納得していないのだろうか?
「話は以上だ。自分の仕事に取り組んでくれ。胡桃…復帰早々悪いが報告書の提出を頼む」
「了解です!」
正直、塔のアルカナについてあまり覚えていないけれど、記憶を辿りながら報告書を作成しなければならない。
康も報告書を提出しているかもしれないけれど、胡桃が見て感じた事とは違う部分があるかもしれないから作成を怠るわけにはいかない。
「あれ、康さんどこに行くんすか?」
「ん?…煙草だよ。秀星も吸う?」
「いや、オレ未成年ですから」
「あはは。冗談だよ」
そういうことは冗談でも言わないで下さいと言いたい。一応刑事なんだから。
というか、康が煙草を吸うなんて初めて聞いたかもしれない。
胡桃は入社してまだ短い。みんなの事をまだよく知っていなかったりする?
でも、まぁ知らない事はあって当たり前かもしれない。
でもなんで今まで気づかなかったんだろう?康から煙草の匂いなんてしたことないと胡桃は思った。