特別課外刑事部 -五人の刑事-
第六章 月のアルカナ①
ーー『おばさんから聞いたけど胡桃、特課部に入社が決まったって本当!?』
ーー『うん。合格しちゃった』
ーー『しちゃった…じゃない。危険すぎる!!それに今職に就く必要ないだろ』
ーー『でも大介は知ってるでしょ?私が刑事に憧れてること』
ーー『知ってるけど相手は謎の生命体のアルカナだろ?』
ーー『こんな私でも刑事になれるのは特課部しかないし。それに世の中一番怖いのは”人間”なんだってば』
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この頃、胡桃は大介が出てくる夢を見ることが増えていた。
実際にあったことをもとにした夢
懐かしくて、泣けてくる。
もう夢の中だけでしか大介には会えない。だから目を覚ます時にはいつも涙の痕がついているし目が真っ赤。
だから朝起きた時には必ず鏡を見ないといけない。まぁ、身だしなみは大切だから鏡を見るのは当然なんだけど。
「お嬢様、登校時間です」
「わかったよ。爺や」
塔のアルカナの報道があってから周りの胡桃に対する目線が変わった。
学校では更に今までとは違う別の意味で距離を置かれているような…
浮いているような…
近所でも特課部のジャケットを着ている胡桃を見かけたらコソコソ何か話したりしている人もいれば、興味津々に話しかけてくる人もいる。
何かを期待するかのような目で見てくる人もいたりする。
何を言われようが別に構わないんだけど、さすがに毎日だとイライラするよね??
爆発しちゃいそうだよー!!!
頭パンクだよー!!!
わかりやすく言えばテスト勉強のために何回も数式を解いて疲れたような感覚。
「はぁ…」
元々、胡桃は学校に居場所なんて無いってわかってるからいいけど教師達までよそよそしいし
よりにもよって学院長には
ーー『君は我が学院の誇りだ』
なんて胡桃に言ってきた。
無関心だったくせにさ。