特別課外刑事部 -五人の刑事-
この公園には見覚えがある
遊具が沢山あって大きな砂場
沢山の子供達が遊んでいる
あ、そうか…
小さい頃、よく大介と遊んだ公園だ
「この映像、みんなに見られているんだよね」
拳銃もきちんと持ってるし夢を自覚しているから成功したのだろう
脳への刺激が危険を及ぼす可能性があるって言っていたけれど、ほんの少しだけだった。
それにしても、この光景に対して私が拳銃を持ってるなんて異常というか違和感しかないや。
「大ちゃん、あっちで遊ぼう!」
「そうだね、くうちゃん」
不意に聞こえた懐かしい声に胡桃は砂場へと視線を移す。
砂場には小さな女の子と男の子が砂の山を一緒に作っている
「あの子たちは、まさか…」
英才教育を受けていた私と大介だけど、たまに外で遊んでもいい時があった。
自然に触れ砂に触れ…そういう環境的な教育も大切だからという理由だったんだけど、そんな事とは知らず素直に楽しく遊んでいる。
あの頃は、私は大ちゃんと呼んでいて大介はくうちゃんと呼んでいた
懐かしい…
「…ダメだ、飲み込まれたらダメ」
懐かしさに浸っていたらアルカナの思う壺だし、あれはアルカナが見せている幻想。
私でも大介でもない。
だけど、あの小さな大介の中に月のアルカナの本体がいるというの?
私には何も感じない
何も感じていないのに小さな大介を撃ってもいいの?
それが正解なの?
「ランラララーン♩ルンルルルーン♩」
鼻歌を歌いながらお山を作る小さな私を小さな大介は微笑ましく見ている
この光景を壊していいの?
「っあ、おねえちゃん!」
「え?」
ふと小さな私は、私を見つけて砂まみれになりながら私に近づいてきた
「おねえちゃんも遊ぼう!」
「え、でも私は」
「だめ?」
首を傾げて上目遣いの小さな私
自分に負けてしまう私は情けない
この映像も見られてるんだよね。
恥ずかしい。