特別課外刑事部 -五人の刑事-


「戸締りよし」


胡桃は覗かれる事はないと信じているけれど、この前、菜々子が入浴後の着替え中に秀星と遭遇したことがある。


戸締りを確認しなかった菜々子が悪いのだが結果的に菜々子の体を見てしまったので怒られたのは秀星だった。


シャワーから上がり胡桃は仕事に取り組もうとタオルで濡れた髪を拭きながらデスクにある資料を見ていた。


「胡桃、髪を乾かしてからにしないか?」


「大丈夫です康くん、これくらいいつもの事じゃないですか」


「胡桃は女の子。しかも高校生なわけだから自覚しなさい」


「…過保護」


ショートカットの菜々子とは違い胡桃はセミロングで乾きが少しだけ遅い。


だけど胡桃はいつも自然乾燥をさせている。髪にも良くないし風邪を引くかもしれない。健康管理は大事なのに胡桃は少し抜けている。



「はい、じっとして」


康はいつの間にかドライヤーを取り出してスイッチを押して胡桃の髪を乾かし始めた。


「子ども扱いしないで下さいよ」


「嫌なら、もっとしっかりしてほしいね」


不服に思いながらも胡桃はアルカナの資料を読んだ。突如地球に現れた謎の生命体のアルカナ。倒したらクリスタルのように儚く消えていく。その姿はいつも悲しげだ。


「はい、おしまい」


「ありがとうございます」


康は兄のように胡桃に接しているように思えるが周りはそうではなかった。


< 9 / 93 >

この作品をシェア

pagetop