お金持ちなんて大嫌い!
私の横には右頬を真っ赤に腫らした桐谷が歩いてる。


「馬鹿力。俺様の顔を2回も引っ叩くなんていい度胸してんな」


「うっさい。元はと言えば、アンタが変なことしてこようとしたからでしょ。ほんとサイテー!変態!」


「うるせ。ちょっとからかっただけだろ?あーあ、これだから処女はめんどくせー」


そう言って空を仰ぐ桐谷。


この人、もう一度殴っていいですか?


「ってか、なんでアンタがついてくんのよ?」


「お前が車に大人しく乗んねーからだろ?」


「だって家までこんなに近いのに必要ないでしょ!」


それにあんなリムジンに乗って帰ったらアパートの住人、みんなびっくりするわ!


……お父さん、怒ってるだろうな。


娘が朝帰りなんて。




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