お金持ちなんて大嫌い！

「そうだ。お前さ……」


桐谷が急に歩みを止める。


それに私も動じ、桐谷の憎らしいくらい端正な顔を見上げると急に顔を逸らされた。


「ケ、ケータイの番号教えろよ」


思いもよらなかった言葉に私の頭にはハテナマークが浮かぶ。


「……は？なんで？」


「なんでって…あ、ほら、お前俺の下僕なんだから呼び出したいときに呼び出せないと不便だろ？ほら。早くケータイ出せよ」


そう言いながら乱暴に私の目の前に手のひらを差し出してきた桐谷。


「……私、ケータイ持ってないけど」


「は？マジで言ってんのかよ？この携帯台数が日本の総人口よりも上回る時代に？」


私のその返答に桐谷は酷く呆れた様子だった。


「お前ほんとに女子高生かよ」


「うるさいな。別に持ってなくたっていいでしょ。必要ないし」