お金持ちなんて大嫌い!
見上げると私たちが落ちた階段の上には桐谷と九条がいた。


すると九条がいきなり駆け降りてきた。


「大丈夫か……」


でも九条は私のところには駆け寄ってこなかった。


「綾乃、大丈夫か?」


「うん…結衣子ちゃんが守ってくれたし、大丈夫……」


心配そうに綾乃さんの後ろ頭を支えながら優しく声をかける九条。


それはやっぱりおとぎ話に出てくるお姫様を助ける王子様みたい。


私なんてやっぱりシンデレラ。


お姫様にはなれないんだ。


九条にとってのお姫様はたった一人、綾乃さんなんだ。


そんな二人の姿を見ていると、目に涙が溜まってきた。


どうしよう。こんなところで泣きたくないのに。




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