お金持ちなんて大嫌い!
「いた……」


ダンボールの中の子猫はブルブルと震えていた。


「寒かったよね?もう大丈夫だから」


私は子猫を抱き抱えた。


ダンボールの中は雨避けになるものがない。


かといってこの近くに屋根があるようなところもないから。


「私のこの傘置いてくね」


私は子猫をダンボールに入れ、そっとその上に傘を置いた。


雨はまだ小振りだから、きっと大丈夫。


走って帰ろう。


そう思っていたけれど、身体に当たっていた雨が何かに遮られ急に当たらなくなった。


私に被さる薄っすらな影。


「何してんの?」




< 146 / 181 >

この作品をシェア

pagetop