お金持ちなんて大嫌い!
降りしきる雨。


さっきよりも雨は強くなっているのかもしれない。


なのにその雨音はかき消されたように静かに感じられた。


それよりも私の心臓の音が大きくて。


雨音なんてきっと聞こえてこないのだろう。


結局九条の傘を猫ちゃんの雨よけとして置いて、私の小さな赤い傘は九条と私、二人で差すことになった。


傘が思った以上に小さくて。


だから必然的に九条との距離も近くて。


さっき微妙に濡れてしまったブラウスにくっついている肌が少しでも動くと九条にぶつかってしまいそうで。


ドキドキしすぎて心臓が破裂しそう。



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