お金持ちなんて大嫌い!
そう言って私は自分の履いているスリッパを指差した。


「ぷっ、何このダッセースリッパ」


トイレに置いてあるようなビニール製の深緑のスリッパ。


「庶民にはお似合いだな」


そう言って笑ってる。


めっちゃめちゃ腹立つ…けど。


「本当に何も知らないの?」


「あ?何が?」


桐谷は目を細めてこっちをギロッと睨みつけてくる。


綺麗な顔をしているだけあって、なんか迫力がある。


「……じゃあ、何でもない。忘れて」


「お、おい」


じゃあ、一体誰なの?


もしかして……

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