お金持ちなんて大嫌い!
翌日。


「はい、どーぞ」


いつもと同じように桐谷に物資を献上するため桐谷のグループに近づく。


「ん。て、お前、まだそのだせぇスリッパ履いてんの?」


私の足元はまた来客用の深緑のスリッパ。


元はと言えば、あんた絡みでこんなことになってるんだけど。


あぁ、ほんとに。


「ムカつく」


「ああ?」


こんな桐谷との絡み。


いつもと同じ。


なんだけど、いつもと少し違う気持ち。


桐谷の横に座ってまた小難しそうな本を読んでる九条の姿をチラッと横目で盗み見る。


相変わらず、目なんて合わないけど。


いや、目なんて合ったら、私の心臓が持たないかもしれない。


「それじゃ」


そう言って、立ち去ろうとした。


のだけど。


ーパシッ




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