夢 ~愛する事を教えてくれた貴方へ~
あたしはその声に顔を上げた。
『ぇ・・・ッヒック』
成松は、目を見開き、驚いている。
萌は、勝ち誇ったように笑っている。
「お前・・なんで」
「ずっと、いたよ?ね、蒼井さん?」
『ごめッ、あたし、聞くつもり・・
なかったんだけど・・』
涙が、溢れてくる。
溢れた涙は、頬をつたり、廊下に落ちる。
「どうしたんだよ?」
成松は、冷静。
『何も、ないからッ。』
あたしはそう小さく呟いき、
小さく笑った。
「じゃあッ!!お前は、なんだ泣いてんだよ?」
『・・・なにもないから。』
「ッとにかくッ!」
成松が萌の方を向いて、言い放つ。
『成松・・・さ。』
その言葉をあたしが遮る。
「なんだよ?」
『萌の事、大切にしてやりなよ』
その言葉を聞いた成松は、言葉を失う。
「ほら、成松君?
蒼井さんもこう言ってくれてるんだし・・・?」
萌が笑顔で成松に話しかける。
「うるせぇ。」
成松の冷静で低い声が廊下に響く。
その冷たい声に萌の顔は引きつった。