夢 ~愛する事を教えてくれた貴方へ~


「別に俺はお前の事なんかどうでもいいんだよ」

「どうして!?
あたしは・・・今まで成松君と仲良くなるために頑張ってきたのに?」

「お前がどう頑張ろうと、俺には関係ない。」

あたしは萌と成松が言い合いをしているうちに、
その場を後にした。


走って、走って走って、
たどり着いたのは、小さな喫茶店。

途中、あたしを呼ぶ声が聞こえたけど、
それでも、走り続けた。

『こんな所・・あったんだ。』

小さく呟き、あたしはドアを開ける。

"カラン"

と小さい店内に響く。

「あら、いらっしゃい。」

優しそうな、おばあさんの声が聞こえた。

『どうも。』

おばあさんは、嬉しそうに笑って、

「まあ、座りなさい。」

『はい。』

あたしは言われるまま、椅子に腰掛けた。

「さてとッ、何か飲む?」

『・・・暖かい物が飲みたいです。』

「はい。ちょっと待ってて」

おばあさんの店の中に消えて行った。

『どうなったんだろ・・・あの二人。』


そんな事を考えて、しばらくするとおばあさんが、
戻ってきた。

「はい、どうぞ」

コトン。と音をたてて、テーブルに置く。

「ミルクティーね。」

フワッ。とミルクティーの匂いが店内に広がる。

実は、ミルクティーが大好物だったりする。

『やった、ありがとうございますッ』

「ええ、いいのよ。」

おばあさんも静かに椅子に腰掛ける。

あたしはおばあさんが出してくれた
ミルクティーを、ずずーー。っと音を立てながら飲む。

『ぷは・・・』


「いい顔ね。」

おばあさんはそう言ってにっこりと笑った。

その優しさと、暖かさから、自然と涙が溢れた。

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