夢 ~愛する事を教えてくれた貴方へ~
『ぁ・・ヒック、ぅ゛・グス・・』
「あらあら、どうしたの?」
おばあさんは困ったようにあたしにハンカチを手渡す。
そのハンカチを受け取り、目にあてる。
涙を拭いて、おばあさんの顔を見る。
「私でよかったら、なんでも聞くわ。」
『・・・おばあさんは、もし・・好きな人が
他の人のところに行きそうになったら、どうしますか?』
あたしがそう言うと、おばあさんは
首をひねり、答えてくれた。
「そうね・・。
それは、とってもとっても辛い事だろうけど、
逃げ出しちゃだめよ。
その人に、ちゃんと自分の気持ちを伝えて?」
『あたしの・・気持ち・・・』
涙が溢れそうになったから、ハンカチで目尻を押さえた。
「そうよ、後悔しないように。
貴方はこのままじゃ、後悔するんじゃないの・・・?
それでいいの・・・?」
『後悔は・・したくありません。
でも・・・ヒック、あたしは、
素直じゃないから・・グス、
きっと、ちゃんと伝える事は出来ないです。
でもッッ、やっぱり、あいつがヒック、好き・・です・・・。』
そう言うと、おばあさんはニッコリと笑って、
あたしの頭を撫でながら、
「そう、その気持ちが大切なのよ。」
『ぇ?』
「後悔はしたくない。
それでも好き。
って言う気持ちが大切なの。
ここでこうしてるより、貴方はすることがあるでしょう・・・?」
『おばあ・・さんッ。
・・・あたし、行ってきます。』
今度は、しっかりとおばあさんの目を見て、呟いた。
おばあさんは無言で、頷いてくれた。
ドアを開ける前に、おばあさんに
『また・・来てもいいですか?』
「えぇ、いつでも待ってるわ。」
あたしはおばあさんに笑って、店を出た。
ゆっくり、歩き出す。
しばらくすると、学校に着いた。
どこにいるのかわからないけど、
なんとなくここにいるような気がした。