真夜中の訪問者
急に変わった口調に私は驚くしかなかった。
それに“やっぱり女の子じゃないんだ”って気持ちもあるし…。
でも、正直、驚いたんだ。
なのに、『棗』は楽しむように言う。
『驚くってコトは、何が起こっているかわからないって言うことだな』
驚いたときこそ、声がでないというのは事実みたい。
「…………。」
『まったく、名前に騙されたぜ。[彼方亜理紗]って言う名前って美人さんな名前なはずなのに…。思いっきり、名前負け?』
『名前負け』そんな言葉は昔から聞くし、自分でもわかってるわよ。
でも、人から言われるのはものすごく腹立たしい。
「そうね。」
私は素直に認めた。
なんていったって、私は冴えない女。
牛乳瓶の底のようなメガネ、手入れしてないばさばさの髪、極め付けには、Tシャツにジーンズ。
顔は化粧っけのない、地味な顔。
急に『棗』が畏まる。
携帯電話を持って、私の方を見ながら話している。