真夜中の訪問者
用事の内容を言わないのに、泊まらせろという『棗』。
なんて失礼なやつ!
でも、しぶしぶ聞いてみた。
「一体、何の用があってきたのですか?そもそもあなたは何者?」
そうすると、『棗』は言い返した。
『正体は、言えませんが[彼方亜理紗]という方に用がありまして…。』
歯切れの悪さに、イライラしてきて言ってやった。
「その彼方亜理紗は私なの?どうなのよ!!」
『棗』は言い返す。
『ただいま確認中です。あなたであっても、なくても、僕は今晩だけお邪魔します。』
私の中で、ぷちっと何かが切れた。
「何で、あんたなんて泊めなきゃいけないのよ。ふざけるのもいい加減にしてよ!!」
と怒鳴っていたら、『棗』の〔携帯電話〕が鳴った。