真夜中の訪問者
―――……ドス……―――
『所長、もう辞めませんか?これ以上人を不幸にするのは…。俺はもう辞めたい。』
息も絶え絶えにでも、一生懸命に、棗は言う。
『所長…、亜理紗を死なせてしまうと、世界は一変します。
人の死を軽んじる輩が出てくるでしょう。
すると、人はこの世の中からいなくなります。
俺らの仕事はなくなり、再び、強い存在によって消されていくんです。』
こんな風に言う棗は私を見ながら言った。