真夜中の訪問者
Ⅱ.出会い~棗~
1.突然の訪問者
「コンコン」
うすっぺらいドアを叩く。
ここは、壁の薄い、ぼろアパートの一室。
外見からして、こんなところに人が住んでいるとは考えられない部屋である。
現在時刻、午前2時。
いくら7月になって日が長くなったとは言え、真っ暗だ。
この時間になっての訪問者なんて不審者以外の何者でもない。
俺だってこんな仕事したくないと思っている。
人の命を奪っていく仕事なんて…