真夜中の訪問者
今日中に『彼方亜理紗』に、死の宣告をしなければならない。
そのためのしのぎではあるが、正体が言えないため仕方ない。
そんな風に考えていると言い返された。
『一体、何の用があってきたのですか?そもそもあなたは何者?』
一番聞いて欲しくないところを聞きやがる。
しかも、しつこい。
「正体は、言えませんが[彼方亜理紗]という方に用がありまして…。」
そういうと、言い返しては来ないだろうと思ったのだ。
しかし、逆効果だったようだ。
『その彼方亜理紗は私なの?どうなのよ!!』
俺はすぐに言わないと大変なことになると本能的に感じとった。
「ただいま確認中です。あなたであっても、なくても、僕は今晩だけお邪魔します。」
おとなしい人間なので、怒りはしないだろうと思っていたが、『亜理紗』は意外に短気だったよう。
『何で、あんたなんて泊めなきゃいけないのよ。ふざけるのもいい加減にしてよ!!』
そんな風に怒鳴られていると、携帯電話がなっていた。
ブツブツ言っている『亜理紗』の面倒なんて見たくないから、ちょうど良かった。