真夜中の訪問者
俺は資料を持って、『亜理紗』の方へ向かいながら言う。
「彼方亜理紗。20歳。聖ミニカル女子学園の大学部に所属している。幼稚部から通っていて、中学部からぶっ通しで主席。」
唖然としている『亜理紗』は呟いた。
『何で、そんなことを…』
でも、確認は確認だ。後を続けた。
「大学での専攻は英文学。極端な男性嫌いで、おしゃれには興味なし。」
呆然としている『亜理紗』を尻目に再び続けた。
「家族構成は、兄2人。しかも、その兄弟の中で一人母親が違う。兄は2人とも結婚し、子どももいる。」
この言葉を聴いて、『亜里沙』は過去の記憶に惑わされているようだった。
この段階からが、一番しんどいのだ。
本当の事実を伏せて話すから…。