Polaris
第5章 これは間違いなく運命だと思った
◇ ◇ ◇
「────さん、唯川さん?」
「ん……え、三浦くん……」
目を開けると、そこには真っ白な壁と天井。それから、三浦くんの心配そうな表情があった。
ゆっくりと身体を起こして辺りを見渡すと、私は病院にいるんだという事をやっと理解した。
「唯川さん、階段で転けちゃったみたいで運ばれてきたんです。ただの打撲で済んだみたいですけど……右足、まだ痛みますよね?」
「え? あ……いたっ」
ちょっと右足を動かしてみると、足首辺りがジーンと痛んだ。ここでやっと、私は階段から落ちた時のことを思い出した。
「あ、あれ……青柳さんは」
「病院に連絡して、意識を失ったままの唯川さんとここまできたあと仕事に戻ったみたいですけど……」
「そう、なんだ……」
確か、私は青柳さんとイツキのことで口喧嘩のようなものをしていて、青柳さんから逃げるようにして歩いていると、階段があることに気づかず転倒したんだっけ。
……まだ、耳に残ってる。
最後に聞こえた〝キョンキョン〟という声。あれは、幻聴だったのだろうか。……いや、ううん。違う。
あれは、紛れもなくちゃんと私の耳に入ってきた言葉だったと思う。