Polaris
第8章 拝啓、世界で一番に愛する君へ
◇ ◇ ◇
「……あの」
「え……? あ……あの病院の……」
後ろから声がかかり、振り向いた。するとそこには喪服に身を包む白い肌の女の子が立っていた。
見たことのある顔だなぁ……と思い、思考回路をフル回転して、彼女が誰なのかを思い出した。
「この度は、ご愁傷様です。心からお悔やみ申し上げます」
彼女が、とても悲しそうな顔をした。
樹が病院を退院してから、どれだけの月日が流れただろう。
病院にいる間、何度も顔を合わせたナースさん。樹も私も、とてもお世話になった。
「あの、これを青柳さんから預かっておりまして……」
「え……?」
彼女が私に差し出してきたのは、隅っこに花柄が描かれた白い封筒。裏を向けると、見覚えのあるペンギンのシールが貼られていた。
「このシール……」
「そうです。あの時のシールです」
いつの日か、樹が私に買ってきてほしいと頼んだシール。これは、この為に買ってきてと言ったのか。