Polaris
ああ、キミへの手紙となると、書くことがたくさんあり過ぎてどうしよう。そろそろ手の力がもたないや。それに、紙ももう足りないよ(笑)
なので、これから一番大事なことだけこれから書くからね。ちゃんと読むんだよ?
月が綺麗だったある日、俺の看病をしながらキミは「結婚しよう?」と言ったよね。
まさか、女の子から逆プロポーズされるなんて思ってもみなかったし、それがキミだから尚更驚いて、信じられなくて、嬉しかった。
こんな俺と結婚しようなんて言ってくれるのは、この世界で、きっとキミだけだよ。
だけど、今、俺はその返事を誤魔化して、そのまま保留にしているね。
それは、こんなに素敵で魅力的なキミを完全な俺のものにするのはキミのために良くないと思ったから。
だけど……それでも、やっぱり嬉しかった。できることなら、キミと結婚したいと思っているから断ることができないんだ。
ずるい俺は、こうして逃げているんだ。……本当に、ごめん。
ああ……生きてる間に、俺、ちゃんと断れるかな?
断れていなかった時のために、ここに書き記しておきます。
僕は、キミと結婚はできません。
何故なら、こんな風にして一人では何もできない俺は、キミのことを幸せになんてできないからです。
金銭面はもちろんだけど、結婚なんて、キミにかかる負担が大きすぎるでしょ。
それに、俺なんかがキミにバツをつけられないよ。
(こんなの理由になんてならないって言って、キミは怒るかな?)
よーし。それじゃあ、真っ当な理由を言うね。
こういうのは、男である俺から言うもんでしょ? 普通。
ね? そうでしょ? これなら、キミも納得してくれるかな?
だからさ、どうしてもキミからのプロポーズを受けられなかった俺からひとつ、お願いがあるんだ。
生まれ変わったら、キミに「結婚してください」って、ちゃんと俺の方から言うから。
そうしたら、いつものように可愛い笑顔で微笑んで、一度だけ頷いて欲しい。
どうか、お願い。それだけでいいから。
こんな我儘で愚かな俺の願いを、叶えてくれると嬉しいな。
今度、生まれ変わったら一緒になろう。
次こそは、ちゃんと幸せにするから。
本当に、キミと出会えて良かったよ。
愛してる。
(乱筆、乱文、大目にみてね。)
青柳 樹
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