Polaris
────私が彼に出会ったのは、今から約一ヶ月前。
「ねぇねぇ。これ、知ってる?」
「え、どれ?」
いつものように詩織を家に呼び、一緒に話をして過ごしていた時のことだった。スマートフォンを触りながら私に問いかけてきた詩織に、私は顔を近づけた。
「見て。これこれ」
詩織がこちらへ向けたスマートフォンの画面に映し出されているのは、ある有名なSNSサイトの画面だった。
「あー……うん。してないけど、知ってる。なんか、ニュースとかテレビ番組見てるとよく出てくるね」
未だガラケーを使っていて、流行に疎い私でも知っているほど有名なそのサイトは、主に、独り言のような呟きを投稿し、それを周りと共有できるというもの。
日本はもちろん、海外の利用者とも交流できるSNSだ。
「これ、面白いよ。京子もしなよ。……っていうか、コレしてない人、多分京子くらいだよ」
絶滅危惧種的な、なんて付け足して笑う詩織。そんな詩織に私は「しないよ」と呟くように返事をして、すぐにそっぽを向いた。