Polaris
初めて味わう不思議な感覚に、私はひどく戸惑っていた。
『……キョンキョン?』
「え、あ……ごめん。ちょっとぼうっとしてた」
イツキの声で、ハッと我に返る。
私の返事を聞いたイツキは『ひどーい、今すっごくいいこと言ったのにさぁ』と不満気に言った。
「あはは、ごめんごめん」
本当は、ちゃんと聞いていた。
聞いていたから……だからこそ、嬉しすぎて返事が返せなくなってしまったんだよ。イツキ。
自分の力になってくれる人がいるって、こんなにも嬉しいことなんだって、今、私は初めて知った。
「ねえ、イツキ」
『んー? 何?』
「あー……ううん。何にもない」
『はは、何それ』
恥ずかしくて、直接は言えないけれど……今日は、本当に、本当にありがとう。イツキ。
本人には絶対に言えない。だけど、少しでも伝わればいいなと思った───。